「術師は非術師を守るためにある」
これが夏油傑の呪術師としての信条でした。
五条悟とともに呪術高専で学び、呪術界から将来を背負って立つ若き逸材として期待されていた夏油。
ではなぜ、呪術師としての道をみずから捨て、呪詛師となり果てたのか。
夏油にいったい何が起きたのでしょうか?
そこで今回は、「夏油傑はなぜ闇堕ちした?」その理由や姿を消した経緯についてまとめていきます。
さらにこのエピソード(過去編)が何巻に描かれるのかも、あわせてご紹介します!
夏油傑は呪術師界の期待の星だった!
夏油傑は、非術師の家庭の出ながら呪術師としての才に恵まれた逸材。
高専時代は、五条悟や家入硝子の同級生で、五条とは互いに実力を認め合い、唯一の親友とも呼べるほどの仲でした。
夏油はどちらかというと呪術師としては考えが真っ当な優等生タイプ。
対してその頃の五条は、呪術師として実力はあるものの、言動がやや軽薄な問題児でした。
性格や信条はまるで真逆の2人でしたが、任務を通じ互いを信頼しあい、一目置く存在として認めていました。
【呪術廻戦】夏油傑はなぜ闇堕ちした?理由とは?
あるとき、五条と夏油はある人物の護衛の任務を任されます。
その人物の名は、星漿体(せいしょうたい)の天内理子(あまないりこ)という少女で、任務は彼女を天元のもとまで送り届けること。
彼女は呪術界にとっては最重要人物で、ある組織から命を狙われているらしく、決して失敗は許されません。
しかも裏では彼女に懸賞金もかけられていたため、多くの呪詛師や刺客が懸賞金目当てに彼女の命を狙っていました。
*星漿体(せいしょうたい)/天内理子とはいったい何者?
天内理子(あまないりこ)は、天元が不死の能力を保つために500年に一度行われる同化(の儀式)に、適合者・星漿体(せいしょうたい)として選ばれた特別な存在。
⇒天内理子とは?星漿体や名シーンを解説!
*天元とは
呪術高専の地下最深部・「薨星宮(こうせいぐう)」本殿にて隠遁する呪術師。
存在そのものが日本の呪術界の基底ともいえる、もっとも重要な存在。
日本国内のあらゆる結界の強化・行使と全呪術師の呪力の補完(安定維持)を行っている、まさに呪術界の要(かなめ)。
夏油傑の闇堕ちは星漿体(天内理子)の死がきっかけ
呪術廻戦でもしも夏油様が呪詛師にならないで高専に残って五条と一緒に教師やってたらきっと変なところでノリのいい、いざとなったら頼れすぎる良いお兄さん枠の先生としてそれはそれで良かったんだろうな
って妄想を何度もしてる( ?-? )
でもたとえ呪詛師でも僕は貴方を愛し続けますよ夏油様 pic.twitter.com/XJFS2ePljf— 雪見だいふく@先生 (@Shibainu_Eve) November 30, 2020
当時から最強コンビだった2人は、迫る刺客を余裕で退けていきますが、最後に思わぬ強敵に不意を衝かれ、不幸にも天内理子は死亡し2人も瀕死の重傷を負います。
護衛任務は失敗に終わります。
その思わぬ強敵とは、天元との同化を阻止しようと、星漿体の命を狙った宗教団体(盤星教)に雇われた“術師殺し”伏黒甚爾(ふしぐろとうじ)でした。
天内理子の死
星漿体として天元と同化するとは、すなわち天内にとって「死」を意味します。
護衛しながら天内とかかわるうち、夏油は彼女の本音を知り、別の生き方があることを提案。
夏油の提案により、天内が同化を拒否し普通に生きたいと望んだことで、夏油は彼女をなんとしても生かして帰すと決めます。
しかし、予期せぬ伏黒甚爾の急襲によって目の前で天内は射殺されてしまうのです。
天内との約束を果たせず、自責の念に苦しむ夏油。
夏油の心を折った伏黒甚爾
目の前で横たわる変わり果てた天内の姿を見て、夏油は怒り心頭。
夏油は伏黒甚爾に呪霊を放ち、全力で襲い掛かるも伏黒甚爾の超人的な強さを前にまるで歯が立ちません。
特級相当の呪霊もことごとく祓われ、夏油は深手を負い敗北。
一方、五条は先の戦闘で伏黒甚爾にとどめを刺されたものの、とっさに回復の反転術式を自身にかけ死を免れていました。
幸い、伏黒甚爾にメッタ刺しにされ死に直面した五条は、これがきっかけで呪力の核心に触れることができ覚醒(パワーアップ)します。
ふたたび伏黒甚爾の前に現れ、会得した新たな術式(虚式・茈)を放ち、逆にとどめを刺し窮地を脱します。
後に、伏黒甚爾に天内の殺害を依頼したのが、天元を崇拝する非術師の宗教団体(盤星教・時の器の会)だったことを知り、やるせなさに落胆する2人。
彼らの天内殺害の目的は、天元と同化する星漿体(天内理子)を穢れた存在とみなし、同化を阻む狙いで、陰で天内の殺害を伏黒甚爾に依頼していたのです。
天内の死に歓喜する盤星教の信者たち。
その光景に憤りを覚え、非術師のあまりの醜悪さに夏油の心にある思いが芽生えます。
夏油傑の信念がゆらぐ
夏油は呪術師としての仕事の中で、守るべき人間たちの愚かさに直面し続けて、次第に精神の限界を迎え、呪力を持たない一般人は「猿」であり、「猿」どもを皆殺しにし、呪術師たちの理想的世界を作るという極端な方向へと突き進んでいく
??
五条悟の親友だったが…「闇堕ち」し??最後は五条に殺された?? pic.twitter.com/DVqiDlWF6H— meiling(美齢) (@ykmeiling8) March 9, 2021
この星漿体(天内理子)殺害事件以降、夏油の中の「非術師は守るべき存在」という考えがゆらぎ始めます。
非術師に守るべき価値はあるのか?
私は夏油傑だ
呪術高専二年の者だよ
青い鳥初めて見たから反応してくれると嬉しいな
此処に花弁?を押してくれると嬉しいよ#呪術廻戦なりきりさんと繋がりたい #なりきりさんと繋がりたい #なりきりさんがRTしてくれてそれを見たなりきりさんがきっとフォローしてくれる pic.twitter.com/z952vhtSZV— 夏油 傑(低浮上) (@Getou_Suguru__) December 27, 2020
呪術師として「呪術は非術師を守るためにある」を信条としてきた夏油。
しかし、天内理子の死を喜ぶ盤星教の信者(非術師)たちの姿を見てから、非術師が守るべき価値のある存在なのかわからなくなったのです。
「弱者ゆえの尊さと弱者ゆえの醜さ」
「非術師を見下す自分とそれを否定する自分」
割り切れない心の葛藤が夏油を苦しめていきます。
最強となった相棒の五条とはいまや大きく差が付き、だんだんと自信と呪術師としての己の正義を見失っていく夏油。
ついには夏油は非術師を『猿め』と呼んで見下すまでに・・・。
九十九由基との出会いと灰原の死
その後、自問自答をくりかえし苦しむ夏油に運命を決める出来事が起こります。
ひとつが特級術師・九十九由基との出会いで自分の本音が確認できたこと。
そしてもうひとつが、呪術師の報われない生き方を後輩の灰原の死で痛感してしまったこと。
九十九由基との出会い
現在の呪術界における呪術師の役目は、呪霊を狩るという考えに基づいたいわば対処療法。
それに対し、九十九由基の呪術師としての考えは、「呪霊の生まれない世界を作る」という原因療法。
呪いは人の負の感情から生まれる。
非術師(=人間)がいるかぎり呪いは生まれ続ける・・・
まるで終わりのないマラソン。
この矛盾に対する答えとして、「いっそ非術師を皆殺しにすれば呪霊の生まれない世界ができる」
という思いが夏油に芽生えていました。
「術師は非術師を守るためにある。」
つまり、この手段は呪術師の存在意義を根底からくつがえす最悪の選択。
この考えに至った夏油の心はどんどん黒く染まっていきます。
灰原の死で痛感
呪術高専で夏油には1年後輩の灰原雄がいました。
灰原は呪術師の使命にまったく迷いがなく、眩しいくらいまっすぐな性格。
自分を尊敬し慕ってくるそんな彼の存在に、夏油自身も呪術師の過酷な環境のなかで癒されていました。
しかし、灰原はある任務で想定外の上級呪霊の出現で命を落とすという、不慮の事故によって無残な姿で帰ります。
連絡を受け、灰原の変わり果てた姿に愕然とする夏油。
灰原の血でどんどん赤く染まっていくシーツを見ながら、くすぶっていた「呪術師の存在意義とは?」という疑念がふつふつと沸き上がり、ふくれあがる闇の心が夏油をどす黒く染めていきます。
さらに、このあと夏油が単独で向かった任務で、“闇堕ち”の決定打となったある出来事が起こります。
夏油傑が闇堕ちした理由は非術師の大量虐殺
「呪術師とは何だ?猿(=非術師)に命をかける価値があるのか?」
守るべき非術師の醜悪さを目の当たりにし、後輩を失ったことで希望を失いかけていた夏油にさらなる悲劇が襲います。
呪詛師・夏油傑が誕生!
間もなく派遣された任務先の村で、呪術師の幼い2人の少女が村民から暴行を受け、牢に監禁されていることを目にし、しかも村民たちは村の危機の原因がこの少女たちだと罵倒し始めます。
この耐え難い光景に、かろうじてつながっていた夏油の正義の糸がぷっつり切れます。
「もう無理だ!」腹が決まる夏油。
夏油が闇堕ちした瞬間です。
夏油は村民(非術師)112名を皆殺しにし、2人の少女を救い出したあと姿を消します。
ちなみにこの少女たちが、のちの夏油一派のメンバーとなるミミナナこと美々子と菜々子です。
「生き方は決めた あとは・・・」
夏油の蛮行の知らせを受け、総監部は夏油の処刑命令を執行します。
納得できない五条は夏油を見つけ出し、直接理由を問いただします。
「生き方は決めた あとは自分にできることを精一杯やるさ」
大量虐殺によって呪術界から追放され、その後は呪詛師として理想の世界を作る目的を果たさんと仲間をあつめ、来たる日に備え準備を進める夏油。
「わたしに従え 猿ども・・・」
ここから呪術師としての道を捨て五条とも決別し、自分のなすべきことに突き進む決意を固める夏油。
手始めに旧盤星教に乗り込み、派手な殺戮ショーで教団を乗っ取ります。
おそらく地盤をつくることと天内理子の件にけじめをつけることが目的でしょう。
「非術師を皆殺しにすれば呪霊の生まれない世界ができる」という理想を実現すべく、呪詛師へと変貌した夏油。
それから数年の時が経ち、京都と新宿で非術師を巻き込んだ大規模な呪術テロ「百鬼夜行」をついに決行します。
夏油傑の闇堕ちは何巻で描かれる?
この夏油の過去が描かれる闇堕ちのエピソードは、原作8~9巻(65話~)に収録されています。
呪術廻戦8巻が届いた!
これで読み進めることができる!
明日はお休みだから呪術廻戦読みまくるぞ!
あとは0巻だけだ .‹‹\(´ω` )/››#呪術廻戦 pic.twitter.com/VykBs7DPn7
— 一 千(にのまえ せん)H-D 2017y Sportster Iron改 XL1000N (@ninomaeXL883N) February 17, 2021
以降の百鬼夜行については、原作0巻で描かれ、劇場版『呪術廻戦0』としても2021年に公開され大ヒットとなりました。
この百鬼夜行で描かれる夏油と五条の再会は名シーンなので必見!
⇒五条が夏油へ最後に伝えた言葉とは?
まとめ:【呪術廻戦】夏油傑はなぜ闇堕ちした?理由が描かれるのは何話?
今回は夏油傑がなぜ闇堕ちして呪詛師になったのか。
夏油が闇堕ちするに至った過程とその理由を出来事をかいつまんでまとめてみました。
くわしく知りたいかたは、原作やアニメでぜひ確認してみてください。
夏油の人間性や心の葛藤に触れると、彼もまた魅力的なキャラに思えてきます。
悪であって悪ではないと・・・。